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音楽の基礎知識

このページでは、音楽の基礎、特に作曲に必要な知識について記述しています。これから作曲を始めようという人や音楽についての基礎知識を得たいと思っている人はぜひ参照して下さい。

1.音名

a)幹音名
  ┏━━━┳━━━┯━━━┯━━━┯━━━┯━━━┯━━━┯━━━┓
  ┃日 本┃ ハ │ ニ │ ホ │ ヘ │ ト │ イ │ ロ ┃
  ┠───╂───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┨
  ┃英 米┃ C │ D │ E │ F │ G │ A │ B ┃
  ┠───╂───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┨
  ┃ 独 ┃ C │ D │ E │ F │ G │ A │ H ┃
  ┠───╂───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┨
  ┃ 伊 ┃Do │Re │Mi │Fa │Sol│La │Si ┃
  ┃ 仏 ┃Ut │   │   │   │   │   │   ┃
  ┗━━━┻━━━┷━━━┷━━━┷━━━┷━━━┷━━━┷━━━┛
b)派生音名(♯)
  ┏━━━┳━━━┯━━━┯━━━┯━━━┯━━━┯━━━┯━━━┓
  ┃日 本┃嬰 ハ│嬰 ニ│嬰 ホ│嬰 ヘ│嬰 ト│嬰 イ│嬰 ロ┃
  ┠───╂───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┨
  ┃英 米┃C ♯│D ♯│E ♯│F ♯│G ♯│A ♯│B ♯┃
  ┠───╂───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┨
  ┃ドイツ┃Cis│Dis│Eis│Fis│Gis│Ais│His┃
  ┗━━━┻━━━┷━━━┷━━━┷━━━┷━━━┷━━━┷━━━┛
   ※イタリア式の場合、音名の後に「diesis」を付ける。
    フランス式の場合、音名の後に「diese 」を付ける。
c)派生音名(♭)
  ┏━━━┳━━━┯━━━┯━━━┯━━━┯━━━┯━━━┯━━━┓
  ┃日 本┃変 ハ│変 ニ│変 ホ│変 ヘ│変 ト│変 イ│変 ロ┃
  ┠───╂───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┨
  ┃英 米┃C ♭│D ♭│E ♭│F ♭│G ♭│A ♭│B ♭┃
  ┠───╂───┼───┼───┼───┼───┼───┼───┨
  ┃ドイツ┃Ces│Des│Es │Fes│Ges│As │B  ┃
  ┗━━━┻━━━┷━━━┷━━━┷━━━┷━━━┷━━━┷━━━┛
   ※イタリア式の場合、音名の後に「bemolle 」を付ける。
    フランス式の場合、音名の後に「bemol   」を付ける。
…音名は特に英米式のものが重要です。コードネームを勉強するときに使用します。ドレミファソラシドは日本では「階名」と呼びますが、「音名」として使用しても問題ありません。

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2.音階

a)長音階

    主音      下属音 属音    導音
    C  D  E  F  G  A  B  C
     └┘ └┘ \/ └┘ └┘ └┘ \/
                          (└┘全音 \/半音)
b)短音階

  1.自然短音階
    A  B  C  D  E  F  G  A
     └┘ \/ └┘ └┘ \/ └┘ └┘

  2.和声短音階
    A  B  C  D  E  F  ♯G  A
     └┘ \/ └┘ └┘ \/ ┗┛ \/
                    増2度
  3.旋律短音階

   上行
     A  B  C  D  E ♯F ♯G  A
      └┘ \/ └┘ └┘ └┘ └┘ \/

   下行
    A  G  F  E  D  C  B  A
     └┘ └┘ \/ └┘ └┘ \/ └┘
…「全音」「半音」の違いはピアノの鍵盤を思い浮かべてみてください。音と音の間にひとつ鍵盤があればその2つの音の間隔は「全音」となります。この音程をきちっと押さえることが、後の「和音」で役立ちます。

 c)参考

   長┌──Do──┬──La──┐短
   音├──Si──┤      │音
   階│      ├──Sol─┤階
    ├──La──┤      │
    │      ├──Fa──┤
    ├──Sol─┼──Mi──┤
    │      │      │
    ├──Fa──┼──Re──┤
   ┌├──Mi──┤      │
   ││      ├──Do──┤┐
  長│├──Re──┼──Si──┤│短(→長音階と短音階の名前の由来)
   ││      │      ││
   └└──Do──┴──La──┘┘
…意外と知られていない「長」音階と「短」音階の由来です。

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3.調号

a)長音階とその関係

  ※ ■=<長2度(全音)> ▲=<短2度(半音)>

 《下属調(5度下)》
   主 音         下属音:属 音     導 音
   ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐:┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐
   │ │ │ │ │ │ │♭│:│ │ │ │ │ │ │ │
   │F│■│G│■│A│▲│B│■│C│■│D│■│E│▲│F│
   └─┘ └─┘ └─┘ └─┘:└─┘ └─┘ └─┘ └─┘
    ┗━━テトラコード0━━┛ :  ┗━━テトラコード1━━┛
                          ↑
 《元の調》    ┌───────────────┘
 ┏━━━━━━━━┷━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ 主 音         下属音│属 音     導 音     ┃
 ┃ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐│┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┃
 ┃ │ │ │ │ │ │ │ │││ │ │ │ │ │ │ │ ┃
 ┃ │C│■│D│■│E│▲│F│■│G│■│A│■│B│▲│C│ ┃
 ┃ └─┘ └─┘ └─┘ └─┘│└─┘ └─┘ └─┘ └─┘ ┃
 ┃  ┗━━テトラコード1━━┛ │ ┗━━テトラコード2━━┛  ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━┯━━━━━━━━┛
          ┌───────────────┘
 《属調(5度上)》↓
    主 音         下属音:属 音     導 音
    ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐:┌─┐ ┌─┐ ┌─┐ ┌─┐
    │ │ │ │ │ │ │ │:│ │ │ │ │♯│ │ │
    │G│■│A│■│B│▲│C│■│D│■│E│■│F│▲│G│
    └─┘ └─┘ └─┘ └─┘:└─┘ └─┘ └─┘ └─┘
     ┗━━テトラコード2━━┛ : ┗━━テトラコード3━━┛ 
…長音階は「全音・全音・半音」+「全音・全音・半音」となっています。連結部分は「全音」です。この全音・全音・半音を4つのコード「テトラコード」と呼び、上下に4つの音を付け足して、これを「全音・全音・半音」になるように調整します。上に付け足した場合は♯の調「嬰種調」が完成します。下に付け足した場合は♭の調「変種調」が完成するわけです。
…元の調の属音を主音にして新しい調を構成すると、元の調に対して属調と呼ばれ新しい調の導音に♯が付きます。
…元の調の主音を属音にして新しい調を構成すると、元の調に対して下属調と呼ばれ新しい調の下属音に♭が付きます。

b)調号一覧

   出発点    ハ長調  イ短調
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃       嬰種調       ┃       変種調       ┃
 ┠───────┬────┬────╂───────┬────┬────┨
 ┃ 調号位置  │長音階 │短音階 ┃ 調号位置  │長音階 │短音階 ┃
 ┣━━━━━━━┿━━━━┿━━━━╋━━━━━━━┿━━━━┿━━━━┫
 ┃F      │ ト長調│ ホ短調┃B      │ ヘ長調│ ニ短調┃
 ┃       │    │    ┃       │    │    ┃
 ┃FC     │ ニ長調│ ロ短調┃BE     │変ロ長調│ ト短調┃
 ┃       │    │    ┃       │    │    ┃
 ┃FCG    │ イ長調│嬰ヘ短調┃BEA    │変ホ長調│ ハ短調┃
 ┃       │    │    ┃       │    │    ┃
 ┃FCGD   │ ホ長調│嬰ハ短調┃BEAD   │変イ長調│ ヘ短調┃
 ┃       │    │    ┃       │    │    ┃
 ┃FCGDA  │ ロ長調│嬰ト短調┃BEADG  │変ニ長調│変ロ短調┃
 ┃       │    │    ┃       │    │    ┃
 ┃FCGDAE │嬰ヘ長調│嬰ニ短調┃BEADGC │変ト長調│変ホ短調┃
 ┃       │    │    ┃       │    │    ┃
 ┃FCGDAEB│嬰ハ長調│嬰イ短調┃BEADGCF│変ハ長調│変イ短調┃
 ┗━━━━━━━┷━━━━┷━━━━┻━━━━━━━┷━━━━┷━━━━┛
…規則正しく増えていきます。一番下嬰種調では、FCGDAEBとなっていますが、これを逆さにするとBEADGCFとなり、ちょうど変種調の増え方と同じになります。この関係を図式化したものが以下の五度圏です。

c)五度圏
           ♭←・→♯
      ┌───F──C──G───┐
      │             │
      │ ┌─d──a──e─┐ │
      │ │         │ │
     B♭ g         b D
      │ │         │ │
     E♭ c        f♯ A
      │ │         │ │
     A♭ f        c♯ E
      │ │   d♯    │ │
      │ └─b─e♭─g♯─┘ │
      │             │
      │  C♯─F♯─B────┘
      └──D♭─G♭─C♭
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4.関係調


a)関係調の例
          ┏━━━━━━━┓
    ┌───┐ ┃ ┌───┐ ┃ ┌───┐
    │ト短調│←┃→│ト長調│←┃→│ホ短調│
    └───┘ ┃ └───┘ ┃ └───┘
    属調の同主調┃  属 調  ┃属調の平行調
      ↑   ┃   ↑   ┃   ↑
   ┏━━:━━━┛   ↓   ┗━━━:━━┓
   ┃  ↓               ↓  ┃
   ┃┌───┐   ┌───┐   ┌───┐┃
   ┃│ハ短調│←→ │ハ長調│ ←→│イ短調│┃
   ┃└───┘   └───┘   └───┘┃
   ┃ 同主調     主 調     平行調 ┃
   ┃  ↑               ↑  ┃
   ┗━━:━━━┓   ↑   ┏━━━:━━┛
      ↓   ┃   ↓   ┃   ↓
    ┌───┐ ┃ ┌───┐ ┃ ┌───┐
    │ヘ短調│←┃→│ヘ長調│←┃→│ニ短調│
    └───┘ ┃ └───┘ ┃ └───┘
   下属調の同主調┃  下属調  ┃下属調の平行調
          ┗━━━━━━━┛
1.同主調(同名調)
 同じ主音を持つ長調と短調の関係で、オクターブ近親関係とも呼ぶ。
2.属調(5度近親関係)
 ある調(主調と呼ぶ)の属音を主音とする長調と短調のうち、主調と同種の調を、主調に対して属調と呼ぶ。
 (但し、属調から見て、主調はその属調ではありえない)
3.下属調(5度近親関係)
 ある調(主調と呼ぶ)の下属音を主音とする長調と短調のうち、主調と同種の調を、主調に対して下属調と呼ぶ。
 (但し、下属調から見て、主調はその下属調ではありえない)
4.平行調(3度近親関係)
 調号を同じくする長調と短調との関係を言う。短調の原形(自然短音階)は、長調と同じ音階構成音を持っている。
 …これらの関係調を理解することで、例えば一時的に調を変えたりするときなどに、スムーズな移行が可能になります。特に平行調との関係をうまく捉えることで曲の感情を上手く表現することができます。

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5.音程

a)音程

             ┌──────────┐
          ┌──┤   完全□度   ├──┐
         ♭↓  └──────────┘  ↓♯
 ┌────┐ ┌───┐ (1/4/5/8度) ┌───┐ ┌────┐
 │重減□度│←│減□度│            │増□度│→│重増□度│
 └────┘♭└───┘            └───┘♯└────┘
         ♭↑  ┌───┐→ ┌───┐  ↑♯
          └──┤短□度│or│長□度├──┘
             └───┘ ←└───┘
              (2/3/6/7度)

            転回          転回
         完全←──→完全   / 1度←──→8度
         長 ←──→ 短  /  2度←──→7度
         増 ←──→ 減  /  3度←──→6度
         重増←──→重減 /   4度←──→5度

b)協和音程と不協和音程の一般的な分類

   ┏━━━━━┳━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━┓
   ┃大分類  ┃小分類    │名称   (振動数比)┃
   ┣━━━━━╋━━━━━━━┿━━━━━━━━━━━┫
   ┃協和音程 ┃完全協和音程 │完全1度  (1:1)┃
   ┃     ┃       │完全8度  (1:2)┃
   ┃     ┃       │完全5度  (2:3)┃
   ┃     ┃       │完全4度  (3:4)┃
   ┃     ┠───────┼───────────┨
   ┃     ┃不完全協和音程│長3度   (4:5)┃
   ┃     ┃       │短3度   (5:6)┃
   ┃     ┃       │長6度   (3:5)┃
   ┃     ┃       │短6度   (5:8)┃
   ┣━━━━━╋━━━━━━━┿━━━━━━━━━━━┫
   ┃不協和音程┃全音階的音程 │増4度   (全3音)┃
   ┃     ┃       │減5度(半オクターブ)┃
   ┃     ┃       │長2度    (全音)┃
   ┃     ┃       │短2度    (半音)┃
   ┃     ┃       │長7度        ┃
   ┃     ┃       │短7度        ┃
   ┃     ┠───────┼───────────┨
   ┃     ┃半音階的音程 │上記以外の全ての   ┃
   ┃     ┃       │増、減、重増、重減音程┃
   ┗━━━━━┻━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━┛
…音程の捉え方は重要です。和音として音を重ねるときの基礎となります。

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6.和音

a)三和音の種類

  第5音 短三度┌○  長3度┌○  短3度┌○  長三度┌○
  第3音    └○┐    └○┐    └○┐    └○┐
  根 音     ○┘長三度  ○┘短3度  ○┘短3度  ○┘長三度

         長三和音   短三和音   減三和音   増三和音

b)和音の転回
                 ○根     ○3
          ○5            ○根
          ○3  →  ○5  →
          ○根     ○3     ○5

          基本    第一転回   第二転回
               <六の和音> <四六の和音>

   重複する場合 根音    根音か5音   5音
   (4声位法)

c)音階上の和音
     ┌──┐          ┌──┐┌──┐
  □長調│? │?m   ?m   │? ││? │?m ?dim.
     │  │          │  ││  │
  □短調│?m│?dim.?aug.│?m││? │?  ?dim.
     └──┘          └──┘└──┘
      主和音          下属和音 属和音
       └─────────────┴───┘
              主要三和音
1.トニック(Tonic)
 その調を代表する和音であり、主音の性格を強く持つので、終止感、安定感をもたらす。主音上に作られる?の和音(主和音)が代表的な存在で、次に?の構成音の2音を共有する?の和音が?に準じ、やはり?   の構成音の2音を共有する?の和音は、使われ方によってトニックになりうる。

2.ドミナント(Dominant)
 トニックに進もうとする強い意思を持ち、主格を規定、用意(準備)するための重要な機能で、属音上に作られ、導音を含む?の和音(属和音)が代表的な存在である。さらに?7の和音(属七の和音)は、より強力なドミナントの機能を有する。?の構成音の2音を持つ?の和音は?に準ずるが、古典の和声ではあまり使われず、やはり?の構成音の2音を持つ?の和音は、使われ方によってドミナントになりうる。

3.サブドミナント(Sub.Dominant)
 情緒・叙情・開放・愉快感などをもたらす。トニックやドミナントのような強力な意思を持たない和音がこの機能に属する。下属音上に作られる?の和音(下属和音)が代表的であるが、?の構成音の2音を持つ?の和音も同様の機能に属する。

d)カデンツ(終止形)
 1.第1型 T→D→T
 2.第2型 T→S→D→T
 3.第3型 T→S→T

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