音楽の初歩知識
このページでは、音楽の初歩知識である楽典について解説しています。学校の音楽の授業で扱う内容を中心に記述しています。既に理解されている方は続編の音楽基礎テキストへとお進みください。
1.楽典
楽典では、音楽を書き表すために使われる諸記号と、それらを支配する基礎的な音楽理論について扱います。音、音名、譜表、音符と休符、リズムと拍子、装飾音、略記法、様々な記号や標語、音程、音階、和音と和声など広範囲に及びますが、ここでは楽譜を理解するのに必要な知識について解説しています。
2.譜表
・五線
…音の相対的な高低を記譜するため、一般的に五線が用いられる。各線・各間は下から第1線(間)と数える。また、この五線内に記譜することができない音については臨時に短い線を補う。これを「加線」と呼ぶ。
・音部記号(Clef)
…五線上の絶対的な音の高さ(基準)を設定するために、音部記号を用いる。ト音記号はG音、ヘ音記号はF音、ハ音記号はC音の位置を決定する。
・オクターブ記号
…五線内に収まらない高さの音が続く場合、加線による記譜では大変見づらくなる。そのため、実際より1オクターブ高く、もしくは低く記述し、オクターブ記号をつけることがある。
…音の相対的な高低を記譜するため、一般的に五線が用いられる。各線・各間は下から第1線(間)と数える。また、この五線内に記譜することができない音については臨時に短い線を補う。これを「加線」と呼ぶ。
五線の仕組み |
─ 上第1線(加線) 上第1間 ────────── 第5線 第4間 ────────── 第4線 第3間 ────────── 第3線 第2間 ────────── 第2線 第1間 ────────── 第1線 下第1間 ─ 下第1線(加線) |
・音部記号(Clef)
…五線上の絶対的な音の高さ(基準)を設定するために、音部記号を用いる。ト音記号はG音、ヘ音記号はF音、ハ音記号はC音の位置を決定する。
代表的な音部記号 |
(左から、ト音記号・ヘ音記号・ハ音記号) |
・オクターブ記号
…五線内に収まらない高さの音が続く場合、加線による記譜では大変見づらくなる。そのため、実際より1オクターブ高く、もしくは低く記述し、オクターブ記号をつけることがある。
オクターブ記号の例 |
8va ------------------ |
3.音名
・音名
…音名とは音楽で使われる音の「高さ」に対してつけられた名称のことである。
・幹音名
…変化記号によって変化していない音を「幹音」と呼び、それにつけられた名前を幹音名と呼ぶ。各国によって表記は異なる。
※ドイツ音名「H」と英米「B」との表記の違いに注意。
・派生音名
…幹音に変化記号(♯♭など)をつけて、派生させた音を「派生音」と呼び、それにつけられた名前を、派生音名と呼ぶ。
※イタリア式の場合、音名の後に「diesis」を付ける。フランス式の場合、音名の後に「diese」を付ける。
※イタリア式の場合、音名の後に「bemolle 」を付ける。フランス式の場合、音名の後に「bemol」を付ける。
・変化記号
…変化記号は、幹音を変えずに高くしたり、低くしたりするために用いられる記号のことである。調号、もしくは臨時記号として用いる。
…音名とは音楽で使われる音の「高さ」に対してつけられた名称のことである。
・幹音名
…変化記号によって変化していない音を「幹音」と呼び、それにつけられた名前を幹音名と呼ぶ。各国によって表記は異なる。
幹音名 | |||||||
日本 | ハ | ニ | ホ | ヘ | ト | イ | ロ |
英米 | C | D | E | F | G | A | B |
ドイツ | C | D | E | F | G | A | H |
伊(仏) | Do(Ut) | Re | Mi | Fa | Sol | La | Si |
・派生音名
…幹音に変化記号(♯♭など)をつけて、派生させた音を「派生音」と呼び、それにつけられた名前を、派生音名と呼ぶ。
派生音名# | |||||||
日本 | 嬰ハ | 嬰ニ | 嬰ホ | 嬰ヘ | 嬰ト | 嬰イ | 嬰ロ |
英米 | C# | D# | E# | F# | G# | A# | B# |
ドイツ | Cis | Dis | Eis | Fis | Gis | Ais | His |
派生音名♭ | |||||||
日本 | 変ハ | 変ニ | 変ホ | 変ヘ | 変ト | 変イ | 変ロ |
英米 | C♭ | D♭ | E♭ | F♭ | G♭ | A♭ | B♭ |
ドイツ | Ces | Des | Es | Fes | Ges | As | B |
・変化記号
…変化記号は、幹音を変えずに高くしたり、低くしたりするために用いられる記号のことである。調号、もしくは臨時記号として用いる。
調号として用いる変化記号 | |
(sharp) | 半音高くする。 |
(flat) | 半音低くする。 |
臨時記号として用いる変化記号 | |
(sharp) | 半音高くする。 |
(flat) | 半音低くする。 |
(Double sharp) | 半音2つ分高くする。 |
(Double flat) | 半音2つ分低くする。 |
(Natural) | 幹音に戻す。 |
4.音符
・音符
…音符は音の「長さ」を表し、譜表上において「高さ」を表す。通常用いられる単純音符の種類と相対的長さは以下の通りである。
※ 128分音符の用例もあるが、あまり一般的ではない。
・付点音符
…音符の右横(線上の音符は右上)に、もとの音符の1/2の長さを表す点(付点)をつけ、その音符の長さを1.5倍にしたものを付点音符という。また、付点音符にもとの1/4の長さを表す点をさらに付け加えたものは複付点音符といい、もとの音符の1.75倍になる。なお、付点の付いていない音符は単純音符と呼ばれる。
・連符
…音符の正規の分割法(2のn乗、付点音符の場合は3等分したあと2のn乗)以外の数で分割する場合を連符で表し、等分した音符をまとめて(弧線やカギカッコを用いるか符鉤をつなぐ)その数を付記する。
・タイ (Tie)
…音の長さを延長する補助記号。延長に必要な長さの「同じ高さの音」の音符をつづけて表記し、それらを結ぶ弧線のことを指す。1小節内の2つ以上の音を結ぶ場合は、同じ長さの音符を用いることもできるが、拍子を明確にするためにタイを用いることがある。また、小節線を越えて音を延長することもできる。
・フェルマータ (Fermata)
…音の長さを任意に伸ばしたい時にその音符の上に記述する。
…音符は音の「長さ」を表し、譜表上において「高さ」を表す。通常用いられる単純音符の種類と相対的長さは以下の通りである。
音符の種類 | |||
二全音符(全音符の2倍) | 全音符(基準) | ||
2分音符(全音符の1/2) | 4分音符(全音符の1/4) | ||
8分音符(全音符の1/8) | 16分音符(全音符の1/16) | ||
32分音符(全音符の1/32) | 64分音符(全音符の1/64) |
参考)音符の仕組み | |
ぼう(符幹) ↓ |
|
←はた(符尾) | |
↑ たま(符頭) |
・付点音符
…音符の右横(線上の音符は右上)に、もとの音符の1/2の長さを表す点(付点)をつけ、その音符の長さを1.5倍にしたものを付点音符という。また、付点音符にもとの1/4の長さを表す点をさらに付け加えたものは複付点音符といい、もとの音符の1.75倍になる。なお、付点の付いていない音符は単純音符と呼ばれる。
付点音符の例 |
. = + |
・連符
…音符の正規の分割法(2のn乗、付点音符の場合は3等分したあと2のn乗)以外の数で分割する場合を連符で表し、等分した音符をまとめて(弧線やカギカッコを用いるか符鉤をつなぐ)その数を付記する。
連符の例 |
= |
・タイ (Tie)
…音の長さを延長する補助記号。延長に必要な長さの「同じ高さの音」の音符をつづけて表記し、それらを結ぶ弧線のことを指す。1小節内の2つ以上の音を結ぶ場合は、同じ長さの音符を用いることもできるが、拍子を明確にするためにタイを用いることがある。また、小節線を越えて音を延長することもできる。
・フェルマータ (Fermata)
…音の長さを任意に伸ばしたい時にその音符の上に記述する。
フェルマータ |
5.休符
・休符
…音のないところを表す記号。音符に対応した休符がある。
※ただし、1小節全てが休符の場合は、拍子に関係なく全休符を記す。
※音符と同様、付点休符もある。
…音のないところを表す記号。音符に対応した休符がある。
休符の種類 | |||
全休符(基準) | |||
2分休符(全休符の1/2) | 4分休符(全休符の1/4) | ||
8分休符(全休符の1/8) | 16分休符(全休符の1/16) | ||
32分休符(全休符の1/32) | 64分休符(全休符の1/64) |
※音符と同様、付点休符もある。
6.発想記号
・強弱記号
…強弱を意味するイタリア語の単語(強い forte=f 弱い Piano=p) とその最上級である(fortissimo=ff pianissimo=pp)、1/2を意味するmezzoを添えたもので表す。
※読み方は、fff(フォルテティッシモ)、ff(フォルティッシモ)、f(フォルテ)、mf(メゾフォルテ)
mp(メゾピアノ)、p(ピアノ)、pp(ピアニッシモ)、ppp(ピアニッシシモ)
…音を次第に強めるには < crescendo(クレシェンド)
…音を次第に弱めるには > diminuendo,decrescendo(ディミヌエンド,デクレシェンド)
・アクセント記号
…ある音を強調する記号。その部分の強弱、強調の度合いに応じて以下の記号や標語を利用する。
…強弱を意味するイタリア語の単語(強い forte=f 弱い Piano=p) とその最上級である(fortissimo=ff pianissimo=pp)、1/2を意味するmezzoを添えたもので表す。
強弱記号の仕組み |
強 fff ← ff ← f ← mf mp → p → pp → ppp 弱 |
mp(メゾピアノ)、p(ピアノ)、pp(ピアニッシモ)、ppp(ピアニッシシモ)
…音を次第に強めるには < crescendo(クレシェンド)
…音を次第に弱めるには > diminuendo,decrescendo(ディミヌエンド,デクレシェンド)
・アクセント記号
…ある音を強調する記号。その部分の強弱、強調の度合いに応じて以下の記号や標語を利用する。
アクセント記号 |
> , ∧ , sf (sforzando)またはfz , rinf (rinforzando) , marcato 等。 |
7.リズムと拍子
・拍
…一定時間ごとに刻まれる「拍」という単位に乗ることによってリズムが導かれる。人間の脈拍と同様に必ず反復される。
・拍子
…何拍かごとに心理的、物理的な強点(力点)を周期的に設定して、拍の進行を整理・統合する。つまり何拍かごとにアクセントを置いて、拍を通常2〜5つほどのまとまりにする。拍の連続が一様ではなく、強い拍、弱い拍の区別を持ち、それが規則的に交代するときに、拍子が生まれる。例えば強拍(下拍)・弱拍(上拍)・弱拍と3拍ごとの周期が続くと3拍子となる。
・強起と弱起
…強拍から楽曲が始まること、つまり小節の第1拍からの開始を強起と呼ぶ。これに対して弱拍、第1拍以外の拍から始まることを弱起と呼ぶ。
・拍子記号
…楽曲を記譜する際に、音部記号および調号(♯や♭)の右隣に、何拍子であるかということと、どの音符を基準にするか(1拍と定義するか)を分数の形で示す。…3/4(4分の3拍子)の場合、4分音符を一拍の単位として3拍子の楽曲であることを表す。
・小節線と小節
…拍子をはっきりと区別するために用いられる五線上の縦線のことを小節線と呼ぶ。小節線はその拍子の強拍の直前に記される。小節線と小節線の間を小節と呼ぶ。
・拍子の種類
…各拍子の中で、2拍子・3拍子・4拍子を単純拍子と呼び、1拍が3個の小単位から成る2拍子・3拍子・4拍子を複合拍子と呼ぶ。また、異なる種類の拍子が組み合わされてできた拍子を混合拍子と呼ぶ。
・単純拍子
…2拍子 2/2・2/4・2/8
…3拍子 3/2・3/4・3/8
…4拍子 4/4・4/8
・複合拍子
…6拍子 6/4・6/8
…9拍子 9/8・9/16
…12拍子 12/8・12/16
・混合拍子
…5拍子 5/4・5/8
…7拍子 7/4・7/8
…8拍子 8/8 など。
・シンコペーション
…強拍と弱拍による拍子、リズムの正規な進行が、何らかの手段によって故意に変化された状態をシンコペーションと呼ぶ。例えば、同じ高さの音どうしが、弱拍から強拍へとタイで結ばれた時、アクセントが弱拍へと移行する。
…一定時間ごとに刻まれる「拍」という単位に乗ることによってリズムが導かれる。人間の脈拍と同様に必ず反復される。
・拍子
…何拍かごとに心理的、物理的な強点(力点)を周期的に設定して、拍の進行を整理・統合する。つまり何拍かごとにアクセントを置いて、拍を通常2〜5つほどのまとまりにする。拍の連続が一様ではなく、強い拍、弱い拍の区別を持ち、それが規則的に交代するときに、拍子が生まれる。例えば強拍(下拍)・弱拍(上拍)・弱拍と3拍ごとの周期が続くと3拍子となる。
・強起と弱起
…強拍から楽曲が始まること、つまり小節の第1拍からの開始を強起と呼ぶ。これに対して弱拍、第1拍以外の拍から始まることを弱起と呼ぶ。
・拍子記号
…楽曲を記譜する際に、音部記号および調号(♯や♭)の右隣に、何拍子であるかということと、どの音符を基準にするか(1拍と定義するか)を分数の形で示す。…3/4(4分の3拍子)の場合、4分音符を一拍の単位として3拍子の楽曲であることを表す。
・小節線と小節
…拍子をはっきりと区別するために用いられる五線上の縦線のことを小節線と呼ぶ。小節線はその拍子の強拍の直前に記される。小節線と小節線の間を小節と呼ぶ。
・拍子の種類
…各拍子の中で、2拍子・3拍子・4拍子を単純拍子と呼び、1拍が3個の小単位から成る2拍子・3拍子・4拍子を複合拍子と呼ぶ。また、異なる種類の拍子が組み合わされてできた拍子を混合拍子と呼ぶ。
・単純拍子
…2拍子 2/2・2/4・2/8
…3拍子 3/2・3/4・3/8
…4拍子 4/4・4/8
・複合拍子
…6拍子 6/4・6/8
…9拍子 9/8・9/16
…12拍子 12/8・12/16
・混合拍子
…5拍子 5/4・5/8
…7拍子 7/4・7/8
…8拍子 8/8 など。
・シンコペーション
…強拍と弱拍による拍子、リズムの正規な進行が、何らかの手段によって故意に変化された状態をシンコペーションと呼ぶ。例えば、同じ高さの音どうしが、弱拍から強拍へとタイで結ばれた時、アクセントが弱拍へと移行する。
8.速度
・メトロノーム記号
…メトロノームは1816年にメルツェルによって考案された。
例)=60と表記がある場合、4分音符が1分間で60回演奏される。
・速度標語
…速度を相対的に表す方法。曲の冒頭に主にイタリア語が使われるが、基本的に遅い順から次の5段階の速度標語を用いる。
largo(ラルゴ) → adagio(アダージョ) → andante(アンダンテ) → allegro(アレグロ) → presto(プレスト)
…これらを縮小形にして原意を弱めたり、最上級に変化させ原意を強めたりする。
例)弱める allegro → allegretto
強める preat → prestissimo
・速度変化の指示
…楽曲の途中で速度を変化させる場合、主にイタリア語で記す。
速度を速める指示 例)accelerando , animatoなど。
速度を緩める指示 例)ritardando , ritenuteなど。
拍の規則的な進行を一時中断する指示 例)rebato , senza tempoなど。
速度の変化を元に戻す指示 例)a tempoなど。
…メトロノームは1816年にメルツェルによって考案された。
例)=60と表記がある場合、4分音符が1分間で60回演奏される。
・速度標語
…速度を相対的に表す方法。曲の冒頭に主にイタリア語が使われるが、基本的に遅い順から次の5段階の速度標語を用いる。
largo(ラルゴ) → adagio(アダージョ) → andante(アンダンテ) → allegro(アレグロ) → presto(プレスト)
…これらを縮小形にして原意を弱めたり、最上級に変化させ原意を強めたりする。
例)弱める allegro → allegretto
強める preat → prestissimo
・速度変化の指示
…楽曲の途中で速度を変化させる場合、主にイタリア語で記す。
速度を速める指示 例)accelerando , animatoなど。
速度を緩める指示 例)ritardando , ritenuteなど。
拍の規則的な進行を一時中断する指示 例)rebato , senza tempoなど。
速度の変化を元に戻す指示 例)a tempoなど。